− 第2章 物質の状態−第8講 −

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2−8 沸点上昇と凝固点降下
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粒子くん 不揮発性の物質を含むうすい溶液(希薄溶液)は、溶質の種類に関係なくいくつかの共通した性質を示す。この講では、特に純粋な溶媒と比較したときの沸点や凝固点の違いを整理してみよう!
1.蒸気圧降下と沸点上昇
不揮発性の物質を一定量の溶媒に溶かした希薄溶液の蒸気圧は、純溶媒のそれより低下するため、溶液の沸点は純溶媒の沸点より高くなる。この現象を沸点上昇といい、このときの温度差を沸点上昇度 Δという。
▼ 蒸発の様子と蒸気圧
不揮発性の溶質を含む溶液の蒸気圧(飽和蒸気圧)は、溶質が存在することで溶媒分子が液相から抜けだしにくくなるため、同じ温度でその溶媒が示す蒸気圧よりも低くなる。この現象を蒸気圧降下という。
コラム海水でぬれた衣類は真水でぬれたときよりも乾きにくい。
これは、溶液の方が蒸気圧が小さいために蒸発しにくいからである。
▼ 蒸気圧降下と沸点上昇

右グラフのように、蒸気圧降下により溶液の蒸気圧は溶媒の蒸気圧より低くなる。

その結果、この溶液を沸騰(蒸気圧を760mmHgにする)させるには、100℃よりΔだけ高い温度にしなければならない。
このΔ沸点上昇度である。

一般に、不揮発性で非電解質が一定質量の溶媒に溶けた希薄溶液では、
この沸点上昇度は、溶質の種類にかかわらず、溶質の物質量(溶液の質量モル濃度)に比例する。
Δ km
:モル沸点上昇(K・kg/mol)
・溶媒1kgに溶質1molが溶けているときの沸点上昇度
・比例定数(溶媒に固有の値)
:質量モル濃度(mol/kg)


■ 例題1
 水1kgに不揮発性で非電解質の物質Aを0.1mol溶かした水溶液の沸点は100.052℃である。水1kgに物質Aを0.4mol溶かした水溶液の沸点は何℃か。
水1kgに物質Aを0.1mol溶かした水溶液の
質量モル濃度は0.1/1=0.1(mol/kg)である。
このとき、Δが100.052−100=0.052(K)である。
したがって、モル沸点上昇0.052=k×0.1より、k=0.52となる。
水1kgに物質Aを0.4mol溶かした水溶液 の沸点上昇度Δ
Δ=0.52×0.4/1よって、0.208となる。
したがって、沸点は100+0.208=100.208℃


2.冷却曲線と凝固点降下
一般に不揮発性で非電解質の溶質を一定量の溶媒に溶かした希薄溶液の凝固点は、純溶媒の凝固点より低くくなる。この現象を凝固点降下といい、このときの温度差を凝固点降下度 Δという。
▼ 冷却曲線と凝固点
左のグラフが示すように、一般に溶液を冷却していくと、凝固点になっても凝固しないで、液体のままの状態がしばらく続き(この状態を過冷却という)、あるところ(グラフのB点)で急激に凝固がはじまる。液体が固体になる反応は発熱反応であり、これが急激に起こるのでB−Cのような温度の急速な上昇がみられる。
溶媒が凝固するときは溶質は含まないので、凝固の進行とともに溶液の濃度は大きくなりC−Dのような右下がりのグラフになる。
このとき、溶液の凝固点は、C−Dの延長線と冷却曲線の交点A点となる。
▼ 凝固点降下

右のグラフのように、溶液の凝固点は溶媒の凝固点よりもΔだけ低くなる。

一般に、不揮発性で非電解質が一定質量の溶媒に溶けた希薄溶液では、
この凝固点降下度は、溶質の種類にかかわらず、溶質の物質量(溶液の質量モル濃度)に比例する。
Δ km
:モル凝固点降下(K・kg/mol)
・溶媒1kgに溶質1molが溶けているときの凝固点降下度
・比例定数(溶媒に固有の値)
:質量モル濃度(mol/kg)


■ 例題1
 0.5mol/kgのショ糖水溶液の凝固点が-0.93℃であるならば、0.2mol/kgのブドウ糖水溶液の凝固点は何℃か。
凝固点降下度Δは、溶質の種類には無関係であり、
溶質の物質量に比例する。
0.5mol/kgのショ糖水溶液のΔ=0−(-0.93)=0.93
したがって、
Δ 0.93× 0.2
―――
0.5
=0.372(K)
したがって、凝固点は0−0.372=−0.372℃となる。

コラム雪の降った翌朝に路面が凍結するのを防ぐために、山間部などでは塩化カリウムなどを道路にまいておく方法がとられている。
また、玄関先などに雪が積もるのを防ぐには、食塩などを玄関にまくだけで積雪を少なくすることができる。
どちらも、凝固点降下を利用したものである。


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