− 第3章 物質の変化−第1講 −

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3−1 反応熱と熱化学方程式
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粒子くん 寒い日には、石油ストーブで暖まる、携帯用のホカロンを持ち歩く。これは、すべて化学反応によって発生する熱を利用したもである。ここでは、物質が反応したり、溶解するときの熱の出入りについて考えてみよう。
1.反応熱
物質は、それぞれ固有のエネルギーをもっている。物質が変化したり、状態が変化すると、もってるエネルギーも変化する。
このエネルギーの変化は、熱の出入りとなって現れる。この熱を反応熱といい、ふつう25℃,atmの状態における物質molあたりの値で示される。
・例) C(黒鉛) + O2(気体) → CO2(気体)の反応(燃焼)では、
* 炭素の固体には、黒鉛とダイヤモンドがあるので区別するために( )内に明記している。

この反応では、反応物のもつエネルギーの総和は、生成物のエネルギーの総和よりも大きい。
したがって、その差に相当する熱(394kJ)が放出される。このように熱が発生する反応を発熱反応という。
・例) NH4NO3 + aq → NH4NO3aqの反応(溶解)では、
* aqはラテン語aqua(水)の略で、多量の水を表し、NH4NO3aqは硝酸アンモニウム水溶液を表す。

この反応では、反応物のもつエネルギーの総和は、生成物のエネルギーの総和よりも小さい。
したがって、その差に相当する熱(25.7kJ)が吸収される。このように熱が吸収される反応を吸熱反応という。
コラム使い捨てカイロが発熱するのは、成分の鉄粉が空気中の酸素により徐々に酸化されることで発熱反応が起きているためである。

2.熱化学方程式と反応熱の種類
化学反応式の矢印の代わりに等号を用い、反応熱を書き加えた式を熱化学方程式という。このとき、反応熱は、着目する物質molが反応するときの熱量で表す。
また、物質の状態を( )内に示し、発熱は+、吸熱は−で表す。
・例1) molの炭素(黒鉛)が完全燃焼する反応では、394kJの熱量が発生する。
化学反応式: C + O2 → CO2

熱化学方程式: C(黒鉛) + O2(気体) = CO2(気体) + 394kJ
* 反応熱は、着目する物質molが反応するときの熱量で表す。
* 完全燃焼したときの反応熱を燃焼熱という。
・例2) molの一酸化炭素(気体)が完全燃焼する反応では、283kJの熱量が発生する。
化学反応式: 2CO + O2 → 2CO2

熱化学方程式: CO + 1/2O2 = CO2 + 283kJ
* 状態が明らかな場合には、( )内の状態を省略してもよい。
* 着目する物質の係数を1にする為に、すべての係数を2で割った。
 熱化学方程式では、係数が分数になることもある。
・例3) molの水(液体)がその成分元素の単体から生じる反応では、286kJの熱量が発生する。
化学反応式: 2H2 + O2 → 2H2

熱化学方程式: 2(気体) + 1/2O2(気体) = H2O(液体) + 286kJ
* 物質molがその成分元素の単体から生じるときの反応熱を生成熱という。
* この反応で、着目する物質を水素とすると、水素の燃焼熱とみることもできる。
* 例1)の場合、着目する物質を二酸化炭素とすると、二酸化炭素の生成熱とみることもできる。
・例4)  molの硝酸アンモニウムが多量の水に溶解する反応では、25.7kJの熱量が吸収される。
化学反応式:NH4NO3(固体) + aq → NH4NO3aq

熱化学方程式:NH4NO3(固体) + aq = NH4NO3aq − 25.7kJ
* 反応熱は、着目する物質molが反応するときの熱量で表す。
* 溶解したときの反応熱を溶解熱という。
・例5) 塩酸と水酸化ナトリウムの中和反応においてmolの水が生じる反応では、56kJの熱量が発生する。
化学反応式: HCl + NaOH → H2O + NaCl

熱化学方程式: HCl aq + NaOH aq = H2O + NaCl aq + 56kJ
* 酸とアルカリの水溶液が中和して、水molが生じるときの反応熱を中和熱という。
* HCl aqは塩化水素の水溶液、つまり塩酸を意味する。

3.状態変化と熱の出入り
物質の変化に伴う熱の出入りは、化学反応だけでなく、状態変化においてもみられる。一般に、物質のもつエネルギーは、固体よりも液体、液体より気体の方が大きい。
   左図は、氷が融解するときの熱量と、水が蒸発するときの熱量を0℃、atmに換算したものである。

これを熱化学方程式で表すと、

2O(固体) = H2O(液体) − 6.0kJ

2O(液体) = H2O(気体) − 45kJ

2O(固体) = H2O(気体) − 51kJ


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