− 第3章 物質の変化−第2講 −

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3−2 ヘスの法則と結合エネルギー
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粒子くん 木炭(炭素)を十分な酸素のもとで燃焼させると、二酸化炭素になるが、不十分な酸素のもとでは不完全燃焼を起こし一酸化炭素となり危険である。(最近の暖房機器には、触媒を用いて一酸化炭素を除去するものもある。)
さて、反応が何段階に分かれて起こる場合、放出(または吸収)される熱量の総和には違いがあるのだろうか?
1.ヘスの法則(総熱量保存の法則)
反応熱は、化学反応が段階的に少しずつ進んでも、1回の反応で一気に進んでも、反応熱は同じだけ放出(または吸収)される。
・例) C(黒鉛) + O2(気体) = CO2(気体) + 394kJ・・・・・@
 C(黒鉛) + 1/2O2(気体) = CO(気体) + 111kJ・・・・・A
 CO(気体) + 1/2O2(気体) = CO2(気体) + 283kJ・・・・・B
    反応式AとBは、@の反応を2段階に分割したものである。このことからもわかるように、途中の反応経路が変わっても@の反応熱とA+Bの反応熱は等しくなる。

ヘスの法則
「物質が変化するとき、発生または吸収される熱量の総和は、変化する前と後の物質の状態が決まれば、途中の経路には関係なく一定である。」

* 熱化学方程式は、通常の代数方程式と同じように、移行したり、2つの方程式の両辺の加減算を行うことができる。
 このような性質とヘスの法則を利用して、直接測定困難な反応の反応熱も計算から求めることもできる。
例えば、 A式は@式−B式で求められる
C(黒鉛) + O2(気体) = CO2(気体) + 394kJ
−)CO(気体) + 1/2O2(気体) = CO2(気体) + 283kJ

C(黒鉛)−CO(気体)+O2(気体)−1/2O2(気体) = CO2(気体)−CO2(気体)+394kJ−283kJ
同じ化学式どうしは計算して、式を整理すると、
C(黒鉛) + 1/2O2(気体) = CO(気体) + 111kJ
【例題】次の@〜Bの熱化学方程式を用いて、一酸化炭素と水素からメタンと水を生成する反応の反応熱Qを求めてみよう。
CO(気) + 3H2(気) = CH4(気) + H2O(液) + QkJ

CH4(気) + 2O2(気) = CO2(気) + 2H2O(液) + 890kJ・・・・・@
CO(気) + 1/2O2(気) = CO2(気) + 283kJ・・・・・A
2(気) + 1/2O2(気) = H2O(液) + 286kJ・・・・・B
解法)求める熱化学方程式を見ると、H2の係数は3であるので、B式は3倍する必要がある。また、式中にO2が含まれていないので、@〜B式を上手に加減算してO2を削除する必要がある。
したがって、 A式+B式×3−@式 となる。
CO(気) + 1/2O2(気) = CO2(気) + 283kJA式
+)3H2(気) + 3/2O2(気) = 3H2O(気) + (286×3)kJB式×3
−)CH4(気) + 2O2(気) = CO2(気) + 2H2O(液) + 890kJ@式

CO(気)+3H2(気)−CH4(気)+1/2O2(気)+3/2O2(気)−2O2(気) = CO2(気)+3H2O(液)−CO2(気)−2H2O(液)+283kJ+(286×3)kJ−890kJ
同じ化学式どうしは計算して、式を整理すると、
CO(気) + 3H2(気) = CH4(気) + H2O(液) + 251kJ
よって、この反応は251kJの発熱反応であることがわかる。

2.結合エネルギー
化学反応は物質を構成している原子の組み合わせの変化によって起こる。つまり、原子間の結合が切断され、新たな原子間の結合が形成される。このとき、熱の出入りがある。
分子内の共有結合を切断するのに必要なエネルギーを結合エネルギーといい、その値は、結合6×1023個あたりのエネルギーで示される。
   左図は、水素分子21molを分解して、水素原子2molにするのに、432kJの熱量が必要(結合エネルギーが432kJであることを示している。

これを熱化学方程式で表すと、
2 = 2H − 432kJ
また、水素原子から水素分子1molを生じる熱化学方程式は、
2H = H2 + 432kJ
主な結合エネルギー(kJ/mol
原子間の結合 結合エネルギー 原子間の結合 結合エネルギー
H − H 432 Cl − Cl 239
T −T 149 C − H 411
N − H 386 O − H 459
H − F 566 H − Cl 428
O = O 494 C = O 799

たとえば、1molのアンモニアNH3を完全に原子に分解するには、N − Hの結合が3個含まれているので、386×3=1158kJの結合エネルギーが必要となる。
熱化学方程式で表すと、
  NH3 = N + 3H − 1158kJ

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