- ・人類にとって第3のエネルギー
- 人類にとって、水力、火力に次ぐ第三のエネルギー源、それが原子力である。核反応によって吸収または解放されるエネルギーは、同じ質量の燃料に対し、化学反応のエネルギーの約100万倍である。ウラン、プルトニウム、トリウムなどの核分裂性物質を燃料とし、この核分裂の連鎖反応を制御しながらエネルギーを取り出す装置が原子炉である。
- ・核分裂を生じるウランはどっち?
- 天然に存在する元素の中で、質量数の最も大きいものがウランである。ウランの原子核を構成する陽子は92個であるが、中性子は143個と146個のものがある。陽子の数が同じで中性子の数が異なるものを同位体といい、陽子と中性子の数の和を質量数という。質量数によりウラン235とかウラン238などとよばれている。このうち、ウラン235は中性子を吸収すると不安定になり、二つの別の元素の原子核(核分裂生成物)に割れる。このとき2〜3個の中性子とエネルギーが放出される。この現象を核分裂反応という。

- ・核分裂の連鎖反応(臨界)
- 核分裂で放出された中性子が別のウラン235に吸収されれば、次の核分裂が起こる。この現象が連続して次々に核分裂が繰り返されることを連鎖反応という。連鎖反応が一定の割合で続く状態を臨界とよぶ。連鎖反応が臨界をこえると核分裂反応は増大しつづけ、未臨界だと連鎖反応はすぐ消滅する。また、天然ウラン中のウラン235の含有率は0.7%しか含まれない。効率よく臨界状態にするにはこれを約3%に濃縮して使う。
- ・核分裂と放射能
- 不安定な原子核を持つ元素(放射性元素)は電子(ベータ線)、ヘリウム原子核(アルファ粒子)などの粒子線を出して他の元素に変化したり、エックス線よりも波長の短い電磁波(ガンマ線)などを絶えず出して、安定な元素になろうとする。このような放射線を出す性質を放射能という。
一定量の放射性原子核が初めの数のちょうど半分になるまでに要する時間はその物質に固有の値をもつ。この時間を、半減期といい500万分の1秒という短いものから、1000兆年の200倍という天文学的数字の長寿命のものまでさまざまである。
- 参考
- 大気中の核実験や原子炉事故があると、放射性のヨウ素131が放出される。半減期は8日で短期間に消滅するが、甲状腺がんの引き金になる。また、セシウム137はウランの核分裂から生まれる。半減期は30年である。
- ・原子炉の仕組み
- 効率よく原子力を取り出すために、原子炉にはさまざまな工夫がされている。核分裂のとき放出される中性子は非常に高速である。ウラン235は速度の落ちた中性子(熱中性子)をよく吸収するので、高速中性子を減速させる減速剤が必要になる。この減速剤に普通の水(軽水)を用いるものを軽水炉という。また、激しく反応がおこりすぎたときには臨界を止める制御棒(中性子を吸収してしまうもの)も備えている。さらに、原子炉内では莫大な放射線が発生するので、炉外に出さない工夫が凝らされている。
- ・原子炉の今後の課題
- 原子炉の技術は発展してきているが、放射性廃棄物の処理や、温排水による海水温度の上昇、天然ウランを燃料として利用するための原子炉(ガス炉・重水炉・高速増殖炉)なとなど多数の問題を抱えている。また、たび重なる原子力事故は、近隣住民はもちろん人類にたいして不安要素を植え付けた。
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