- ・人類のつくりだした最強の毒物
- ダイオキシンは、二つのベンゼン環を二つの酸素原子の橋で結んだ構造のジベンゾパラジオキシンの塩素化合物の通称である。ベンゼン環のまわりには塩素が結合している(有機塩素化合物)。これまで人間活動にともなって発生した最も毒性の高い物質といわれている。
二つのベンゼン環につく塩素の数と位置によってダイオキシンには、75の異性体があり、異性体ごとに毒性は大きく異なる。二つのベンゼン環に、対象に四つの塩素がついた2,3,7,8-四塩化ジベンゾダイオキシン(2,3,7,8-TCDD)は、最も毒性が高いといわれている。

- ・化学的な性質
- ダイオキシンは、塩化ビニールなどのプラスチック類の燃焼や紙の漂白、金属の精錬などにともなって発生する。現在、その総排出量の80〜90%は、ごみの焼却施設から出るとみられている。
その性質は、ダイオキシンは水に溶けにくく、土壌に吸着しやすい物質である。そのため、環境に侵入すると、土壌や河川の底泥に吸着し容易には動かない。微生物による分解や化学反応も受けにくい。土の表層部分(上の0.1p程度)のものは、気化や太陽光線での分解を受けるが微々たるものである。土壌中のダイオキシン濃度が半分になるのに要する時間は、表層部で9〜15年、その下の土壌中では25〜100年とまでもいわれている。
- ・人体への影響
- 大気や水、土壌などからのルートに比較して、ダイオキシン類の90%以上は食事経由で人体に摂取される。ダイオキシンを多く含む食品のナンバー1が魚介類で、次いで乳製品や肉類、卵類があげられる。人体への影響の中でも、母乳を通じたダイオキシン汚染が問題となっている。胎児の発育に必要なT4とよばれる甲状腺ホルモンが汚染により低下することが報告されている。
ダイオキシンの毒性のうえで重要な点は、『発ガン性』と生殖細胞への影響としての『精子の減少』である。
- 参考
- 化学品の2,4,5-TP(トリクロロフェノール)に、不純物としてダイオキシンが含まれる。2,4,5-TPは2,3,7,8-TCDDを二つに割った構造をしている。高い温度条件下で二つの2,4,5-TPが反応をおこすと、2,3,7,8-TCDDが生成される。この毒性の高い2,3,7,8-TCDDを不純物として含む2,4,5-T(トリクロロフェノキシン酢酸)を、アメリカは1962年〜1971年までの間、ベトナム戦争で枯れ葉剤として大量に散布した。その結果、奇形児の出産やベトナム戦争帰還兵の健康障害などの大きな社会問題となった事はあまりにも有名である。
- ・急がれる今後の対応
- ダイオキシンが焼却の際に発生してしまう要因としてまずあげられるのは、不完全燃焼である。特に温度が300℃程度の低温度域になるとダイオキシンが合成される可能性が増す。厚生省によると850〜900℃以上の高温での燃焼が望ましいと報告されている。また、燃焼開始時や停止時に低温度域や不完全燃焼となるので、24時間の連続運転が可能な大型炉への転換が急務となっている。現在、厚生省の新設基準を満たしている焼却炉は約3%程度である。ちなみに、日本全国から1年間に出る一般ゴミの量は約5000万トンといわれ、東京ドーム140杯分に相当する。
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